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【この曲を聴こう!】YES – Siberian Khatru

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はじめに

70年代プログレッシブ・ロックを代表するバンドの1つYES。

YESはプログレの中でも特に「調和・明快さ・技巧美」を極めたバンドであり、KING CRIMSONのカオス、GENESISの劇場性、ELPの爆演、PINK FLOYDの空間美とは一線を画します。

そんなYESので個人的に大好きなのが「Siberian Khatru」です。

曲の魅力

YESの「Siberian Khatru」は、彼らの代表作であるアルバム『Close to the Edge』のラストを飾る楽曲で、プログレッシブ・ロックの真髄とも言える楽曲です。

まず、冒頭の鋭くカッティングされたギターリフ(スティーヴ・ハウ)から一気に引き込まれます。ハウのギターはハードロック的な攻撃性とクラシカルな繊細さを併せ持っており、この曲ではまさに両面が融合しています。加えてリック・ウェイクマンのキーボードは、時に対位法的、時にシンフォニックに展開し、YES独特の浮遊感とスピード感を生み出しています。

また、「Siberian Khatru」は、非常に複雑な構成を持ちつつも、聴き手に混乱を与えないバランスの良さがあります。奇数拍子、急なテンポチェンジ、ジャジーなブレイクなど、変化に富んだ展開が繰り広げられる一方で、どこか一貫した推進力があり、それが楽曲にダイナミズムを与えています。

そして、ジョン・アンダーソンの高く透明感ある声が、この曲の神秘性をさらに引き立てています。歌詞はシベリアという具体的な地名が登場するものの、意味は非常に抽象的で詩的。これはYESの特徴の一つで、リスナーは意味を“感じる”ことを求められます。英語であって英語でないような、「響きの美学」にも近い体験ができます。

最後に

『Close to the Edge』のタイトル曲が荘厳な構築美なら、「Siberian Khatru」はよりリズミカルでエネルギッシュ、ロック的なカタルシスに満ちた曲です。

技巧的でありながら、直感的に“かっこいい”と思わせる力を持つ、YESらしい名曲です。

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Close to the Edge

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