はじめに
AT THE GATESの『Slaughter of the Soul』は、1995年にリリースされた4枚目のスタジオアルバムであり、メロディック・デスメタル(メロデス)というジャンルを世界的に確立した金字塔的作品です。
この作品は、メタルシーン全体に大きな影響を与え、その後のメタルコアやデスラッシュ系バンドの方向性にも多大な影響を与えました。
そんな名盤のオープニングを飾る名曲を今回紹介します。
曲の魅力
「Blinded By Fear」はメロディック・デスメタルの金字塔とされる楽曲です。イエテボリスタイルと呼ばれる、スラッシュの攻撃性と哀愁漂うメロディを融合したサウンドは、本曲で極限まで研ぎ澄まされました。
イントロの不穏な語りのあと、即座に炸裂するブラストビート気味のドラムと鋭利なギターリフで曲が始まります。余計な導入がなく、開幕直後から一気にクライマックスへなだれ込むスタイルは衝撃的です。
ボーカルのトーマス・リンドバーグは、地を這うようなグロウルとも、黒金属のような絶叫ともつかない、鋭くエモーショナルなスクリームを披露します。叫びのようでありながら言葉は明瞭で、理性と狂気の狭間を行くような表現力を持っています。彼の声が、リリックの内面的苦悩や怒りをさらに強調しています。
ギタリストアンダース・ビョーラーによる単音リフとリードギターが生み出す北欧的な哀愁感は、暴力性の中に美しさすら感じさせます。これがメロデス最大の魅力であり、この曲のエッセンスです。
曲は3分弱という短さながら、構成は極めて緻密。リフ、ブレイク、ギターソロ、そして怒涛のエンディングまで、一切の冗長さがなく、緊張感が最後まで持続します。プロデュースもクリアで、暴力性と叙情性がくっきり聴き取れる点も◎。
最後に
「Blinded By Fear」は、メロディック・デスメタルのテンプレートを確立した楽曲とされ、多くのフォロワーを生みました。
それは単に音が激しいからではなく、「美しさ・怒り・虚無」を一つの形で昇華した完成度の高さにあります。
是非、聴いてみてほしいです。
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