はじめに
デンマークが産んだヘヴィメタル界のカリスマ、キング・ダイアモンド。
コープスペイントを施したビジュアルや、裏声と低音ボイスを自在に操るボーカルスタイルは、後のメタルバンドに大きな影響を与えました。
そんな彼がMERCYFUL FATE脱退後に結成したバンドがKING DIAMONDなのですが、そのKING DIAMONDの傑作アルバムが1987年リリースの『Abigail』です。
『Abigail』はコンセプトアルバムになっており、ホラー小説のような物語が展開されます。そのクライマックスとなる曲を今回紹介しましょう。
曲の魅力
KING DIAMONDの「Black Horsemen」は、アルバム『Abigail』のラストを飾る壮大な楽曲で、彼の音楽・物語・演劇性のすべてが結実した名曲です。
魅力の1つとして、まず「静と動のコントラスト」が挙げられます。
オープニングはクラシカルなアコースティックギターで暗い雰囲気を静かに作り出します。そこから突然入るツインリードのメロディックなエレキギター。美しいフレージングが物語に色を与えます。この曲では速弾きではなく「叙情性」「ストーリーテリング」を優先したギターワークが光ります。
キング・ダイアモンドのボーカルももちろん魅力的です。
彼の代名詞とも言えるファルセットはもちろん、地の声で語る「ナレーション」、悪魔的に笑う「狂気の演技」、悲しみに満ちた「祈りのような歌唱」など、声の演技力がストーリーの説得力を極限まで高めています。
そして、何と言っても最後のギターソロ!このギターソロは、KING DIAMOND作品の中でも特に叙情性が際立つ美しくも哀切な名演です。
速弾きではなく泣きのギターで、転調やスライド、ビブラートを駆使して、まるで語りかけるようなフレーズを展開します。ストーリーが終わった直後の空虚感・哀しさ・因果の償いをギターで表現しているかのよう。KING DIAMONDの物語的音楽の中でも、最高のアウトロ・ギターソロの一つとして語り継がれるにふさわしい名演です。
最後に
「Black Horsemen」は、壮大なドラマの締めくくりとなる曲です。
キング・ダイアモンドの表現力、バンドの演奏力、ストーリーテリングの力が結集し、アルバムという芸術作品を完成させるラスト・ピースとして、今でも圧倒的な説得力を放っています。
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