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【この曲を聴こう!】METALLICA – For Whom The Bell Tolls

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はじめに

世界で最も成功したヘヴィメタルバンドとされるMETALLICA。

彼らが単に速くてうるさいバンドに留まらなかったのは、クリフ・バートンの存在が大きかったと思います。

クリフはバッハやベートーヴェンなどのクラシック音楽や文学、哲学、そしてプログレに深い造詣を持っており、それがメタリカの音楽性に大きな影響を与えました。彼の趣味と知性が、当時まだ荒削りだったメタリカに深みと芸術性をもたらしましたのです。

そんなクリフ・バートンがヘミングウェイの小説からインスピレーションを受けて作った曲を今回初回します。

曲の魅力

METALLICAの「For Whom The Bell Tolls」は、1984年のアルバム『Ride the Lightning』に収録された名曲です。METALLICAの中でも非常に人気が高く、ライブでも定番ですね。

この曲の最大の特徴のひとつは、クリフ・バートンによるディストーション・ベースのイントロです。まるでギターのようなサウンドで、「これ本当にベース?」と思わせるほどの存在感。彼はワウペダルやファズを使っており、クラシックなメタルのイントロの中でも極めて印象的なものです。

この曲は、メタリカにしてはやや遅めのテンポ(ミッドテンポ)で展開されます。このスピードが逆に重さと威圧感を最大限に引き出しているのがこの曲の肝。ジェイムズのギターリフは、単音とパワーコードを織り交ぜた、突き刺すような構成になっており、反復性によって心理的な圧迫感を作り出します。

ラースのドラムはこの曲ではとてもシンプルです。しかしそれが良い。テンポをキープしながら、スネアやフロアタムの使い方で“空白の重み”を演出しています。サビ直前のフィルインなどでは一瞬リズムが引っ込んだように感じられ、その後にズドンと戻ってくることで、コントラストが際立ちます。

最後に

「For Whom the Bell Tolls」は、速さではなく”音の重さと空間の緊張感”で勝負する曲。音の選び方、プレイスタイル、音作りに至るまで、すべてが「死と戦争」をテーマとした芸術的統一感を持っています。

この曲のサウンドは、後の「The Thing That Should Not Be」や「Sad But True」など重く引きずるグルーヴメタル路線の原点とも言えるものです。

スラッシュメタルの代表格であるMETALLICAの中でも、もっとも「詩的」かつ「壮大」な曲のひとつであり、初心者にも聴きやすくメタルの入門曲としてもおすすめできます。

ライド・ザ・ライトニング(リマスター)(SHM-CD)

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