はじめに
RAINBOWの曲といえば「Stargazer」や「Kill the King」を思い浮かべる人が多いだろう。
だが、個人的に外せないのが「Gates of Babylon」だ。
妖しくエキゾチックな旋律と、ディオの圧倒的な歌声。聴くだけでまるで古代の神殿に迷い込んだかのような没入感が味わえる。
RAINBOWの魅力を語るなら、絶対に紹介したい一曲である。
曲の魅力
「Gates of Babylon」のサウンドは、RAINBOWの楽曲群の中でも特に異彩を放つ。だが、その魅力は何だろうか。
まず核となるのは、リッチー・ブラックモアのギターだ。彼は中東音楽に特徴的なフリジアン・ドミナントやハーモニック・マイナーを取り入れ、異国情緒あふれるリフを展開する。ギターソロでは、流れるような速弾きよりも、音階の妖しさを強調するようなフレーズが選ばれており、聴き手に“魔術的な呪縛感”を与える。
そのギターを支えるのが、デヴィッド・ストーンのキーボード。ストリングス風のシンセ音色が全体を包み込み、ハードロックらしい重さにシンフォニックな広がりを与える。特にイントロや間奏部分での不協和的なコード使いは、古代都市バビロンの退廃と神秘を同時に感じさせる仕掛けとなっている。
リズムセクションも見逃せない。ボブ・ディズリーのベースは低域で地を這うように鳴り響き、コージー・パウエルのドラムは力強くも呪術的な反復で曲を牽引する。特にタムを多用したリズム構築は、まるで儀式の太鼓のようであり、聴く者をトランス状態へと引き込む。
そして、このサウンドの上に君臨するのがロニー・ジェイムス・ディオのヴォーカルだ。彼の歌声は力強さとドラマ性を兼ね備え、歌詞に込められた神秘的な物語をリアルに体現している。低音では囁くように聴き手を誘惑し、高音では天を衝くような迫力で圧倒する。その声は単なる歌唱を超え、まるで吟遊詩人が神話を語るかのような存在感を放っている。
総じて「Gates of Babylon」は、ギターの異国風スケール、シンフォニックなキーボード、呪術的なリズム、そしてディオの劇的なヴォーカルが一体となり、リスナーを異世界へと連れ去る特別な体験を提供している。RAINBOWのディスコグラフィの中でも、サウンドと声がこれほどまでに強烈に絡み合った曲は他にないと言えるだろう。
最後に
「Gates of Babylon」は、ハードロックの枠を越えて異国の幻想世界を描き出したRAINBOW屈指の名曲だ。
リッチー・ブラックモアの探究心と、ロニー・ジェイムス・ディオの表現力、そして壮大なサウンドプロダクションが融合し、唯一無二の音楽体験を生み出している。
RAINBOWを語るうえで、この曲を外すことはできないだろう。
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