はじめに
90年代後半から00年代前半にかけて制作された『ゲッターロボ』のOVA三部作。その中でもひときわカルト的な人気を誇るのが『真(チェンジ!!)ゲッターロボ 世界最後の日』だ。以前紹介した2代目オープニング「HEATS」と並び、初代オープニング「今がその時だ」もまた、この作品を語るうえで欠かせない一曲である。
曲の魅力
「今がその時だ」の最大の特徴は、その軍歌調の力強いリズムとメロディにある。ドラムとベースが刻む規則的な4拍子の行進テンポは、まるで戦場へと進軍するかのような緊張感を生み出している。旋律も日本的短調を基調としており、ただ勇ましいだけでなく、どこか滅びの美学を感じさせるのが印象的だ。世界の終わりを目前に戦う『真ゲッターロボ』の世界観に、これほどまでに噛み合う音楽はないだろう。
歌詞は一貫して覚悟と使命感を描いている。「命を燃やせ!怒りを燃やせ!」という命令形のフレーズや、「全てを捨てて俺は戦う」という直球の言葉には、“人類の代表として戦う者”の責務が込められている。そこにはヒーローの孤独、そして滅びゆく世界であっても前へ進もうとするゲッターチームの魂が宿っている。戦闘を鼓舞する軍歌的な響きを持ちながら、どこか哀しさを含んだメッセージ性が、この曲を単なる熱血ソングではなく哲学的な戦いの歌に昇華させている。
そして何よりも、この曲を“伝説”たらしめているのは、水木一郎の魂の歌声だ。彼の声は単なるシャウトではなく、覚悟の咆哮であり、祈りのようでもある。サビで放たれる「今がその時だ!」の一声には、歌詞以上の説得力がある。彼自身が歌を通して戦いに身を投じているようで、聴く者の胸にも火を灯す。技術や技巧を超えた“人間の熱”がそこにあり、まさにアニソンの枠を越えた生命の歌として鳴り響いている。
最後に
「今がその時だ」は、ただのアニメ主題歌ではない。戦いに身を投じる者の覚悟を描いた、”魂の行進曲”だ。軍歌調のリズムに宿る決意、言葉の一つひとつに滲む使命感、そして水木一郎の声が放つ圧倒的な熱量…。それらが一体となって、聴く者の心を震わせる…。まさに、時代を超えて響く“戦士たちへの賛歌”である。
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