はじめに
本日3月9日、WBC1次ラウンドプールCの2位を賭けて韓国対オーストラリアの試合が行われ、韓国が7-2で勝利して決勝トーナメント行きを決めた。
得点で見ると5点差だからオーストラリアは満塁ホームランでも追いつけず、一見韓国の大勝に見える。しかし、1次ラウンドの順位決定方式が複雑に絡み合った結果、実際には韓国とオーストラリアだけでなく台湾も関わってくる大接戦だった。
超熱戦となったこの試合を振り返りたい。
※台湾は『チャイニーズ・タイペイ』と表記すべきなのかもしれないが、長くて面倒なのでここでは『台湾』とする。
試合開始時の状況
3月8日終了時点の順位表を以下に示す。上位2チームが決勝トーナメントへ進むことができる。
| 順位 | チーム | 勝 | 敗 | 対日 | 対オ | 対韓 | 対台 | 対チ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 日本 | 3 | 0 | ー | ○ | ○ | ○ | 3/10 |
| 2 | オーストラリア | 2 | 1 | ✕ | ー | 3/9 | ○ | ○ |
| 3 | 台湾 | 2 | 2 | ✕ | ✕ | ○ | ー | ○ |
| 4 | 韓国 | 1 | 2 | ✕ | 3/9 | ー | ✕ | ○ |
| 5 | チェコ | 0 | 3 | 3/10 | ✕ | ✕ | ✕ | ー |
日本とオーストラリアが3勝1敗で並んだ場合でも直接対決で勝ってるため、日本の1位通過が既に決まっている。そして、オーストラリアも今日の韓国戦に勝てば3勝で2位通過が確定する。
問題は韓国がオーストラリアに勝利して、3チームが2勝2敗で並んだ場合だ。勝率が並んだ場合の順位決定方式は以下の通りだ。
- 同率チームとの対戦成績
- 同率チームとの対戦で1アウトあたりの失点数が少ないチーム
- 同率チームとの対戦で1アウトあたりの自責点数が少ないチーム
- 同率チームとの対戦で打率が高いチーム
- WBCIによる抽選
まずは「同率チームとの対戦成績」で上位チームを決めるが、オーストラリアが台湾に、台湾が韓国に、韓国がオーストラリアに勝つという三すくみの形になるため決着がつかない。
次は「同率チームとの対戦で1アウトあたりの失点数が少ないチーム」、つまり失点率だ。先に日程を終えている台湾は対オーストラリアで8回3失点、韓国戦で10回4失点の計18回7失点。韓国は台湾戦で10回5失点、オーストラリアは台湾戦で9回0失点だ。韓国対オーストラリアの試合が9回で終わった場合、韓国は3失点以上すると失点率で台湾に逆転される。また、韓国が失点率でオーストラリアを逆転するためには5点以上の差をつけないといけない。逆にオーストラリアは韓国に5点差以上の敗戦は許されないし、4点差以内でも失点が7だと失点率で台湾と並ぶ。
失点率が並んだ場合は、「同率チームとの対戦で1アウトあたりの自責点数が少ないチーム」だが、台湾の失点は全て自責点なので、ここで台湾が勝つことはない。オーストラリアの失点も全て自責点だった場合は「同率チームとの対戦で打率が高いチーム」になるが、台湾対オーストラリアの試合で台湾が31打数3安打の.097に対しオーストラリアが31打数7安打の.226なので、オーストラリアが勝ち抜けとなる。
各チームの1次ラウンド突破条件を下にまとめる。
| チーム | 1次ラウンド突破条件 |
|---|---|
| オーストラリア | ・韓国に勝つ または ・7失点以内 かつ 4点差以内で韓国に負ける |
| 韓国 | ・2失点以内 かつ 5点差以上でオーストラリアに勝つ |
| 台湾 | ・8得点以上 かつ 3失点以上で韓国が勝つ。 |
試合経過
序盤から韓国優勢で点差を広げる
2回表にムン・ボギョンの2ランで韓国が先制すると、3回表にもイ・ジョンフとムン・ボギョンのタイムリーで4-0とする。さらに、5回表にムン・ボギョンがこの日4打点目となるタイムリーを放ち、5-0とこれで5点差。2失点以内かつ5点差以上という韓国の1次ラウンド突破条件を満たす。ここまでは完全に韓国のペース。
5点差を巡る攻防が激しく
5点差から4点差以内に縮めたいオーストラリアは5回裏から反撃開始。この回先頭のR.グレンディニングがホームランで4点差。しかし、この後が続かず6回表に突入すると、2アウト二塁のチャンスでキム・ドヨンがタイムリーで再び5点差。
オーストラリアは6回裏と7回裏にランナーを出すも、共にダブルプレーでチャンスを潰してしまう。そして迎えた8回裏、先頭打者が四球で出塁するとベンチは送りバントを選択。チャンスで打席を迎えたT.バザーナはここまで2三振だったが、ここで4点差に詰める起死回生のタイムリーヒット!
韓国は9回表に点を取らなければ1次ラウンド敗退という状況に追い込まれた。
明暗を分けた9回
9回表のマウンドに向かったのはJ.オローリン。6回途中から投げており、8回まで韓国の得点を許さないピッチングを見せていた。オーストラリアの1次ラウンド突破まであと3アウト。
何が何でも点を取らないといけない韓国は1番のキム・ドヨンからという好打順だったが、ここで四球を選んで無死一塁となる。続くJ.ジョーンズはバントではなく強行を選択するが、ライトフライでランナーを進められず。そして迎えたイ・ジョンフの打球はショートゴロ。しかし、ショートJ.デールの悪送球で一三塁となってしまう。ここで、アン・ヒョンミンがきっちり犠牲フライを打って7-2の5点差!韓国が再び1次ラウンド突破の条件を満たす。
実は、ここで韓国がさらに点を取るとオーストラリアが8失点以上となり、台湾にも1次ラウンド突破の可能性が出てくるという状況だった。しかし、ムン・ボギョンがあっさりと三振になったことで9回表終了。延長戦に突入しない限り、台湾の1次ラウンド突破はなくなった。
そして迎えた9回裏、5点差にも関わらず1点もやれないという状況でマウンドに立ったのはチョ・ビョンヒョンだった。先頭のJ.デールは三振で抑えるが、続くC.バークに四球を与えてしまう。1点でも取れば1次ラウンド突破のオーストラリアはここでR.ウィングローブが右中間に打球を飛ばすが、センターからライトに回っていたイ・ジョンフがスライディングキャッチ!これで2アウトとなり、最後は代打のL.ウェイドをファーストフライに打ち取って試合終了。7-2で韓国が勝利、さらに失点率でオーストラリアと台湾を上回ったため、韓国の1次ラウンド突破が決定した。
ハイライト
最後に
まずは、1次ラウンド突破を決めた韓国におめでとうと言いたい。2失点以内かつ5点差以上の勝利という厳しい条件を達成したわけだから見事と言う他ない。また、最後まで諦めない戦いを見せたオーストラリアと、韓国戦で激戦を制した台湾も素晴らしかった。この3国が全力を出し切ったからこその大熱戦だったのではないだろうか。
さて、既に1次ラウンド突破を決めている侍ジャパンは3月15日に準々決勝を迎える。ここからの対戦相手は強敵ばかりだろうが、今日の熱戦に負けない見応えのある試合になることを期待したい。
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