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【野球コラム】あまりにも見事だった松井稼頭央から中島裕之の世代交代

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はじめに

2024年オフに中日ドラゴンズから戦力外通告を受けた中島宏之(2015年まで中島裕之)が現役引退を発表したのは3月27日のことだった。2000本安打を達成できなかったのは残念だが、間違いなく00~10年代を代表する遊撃手の1人だろう。

思えば、松井稼頭央の後継者として大きなプレッシャーを受けながらも、見事に期待に応えてくれた選手だった。ここまでドンピシャにハマった世代交代は、長いプロ野球の歴史でも中々ないだろう。

この松井稼頭央→中島裕之の世代交代について振り返りたい。

松井稼頭央について

松井稼頭央(本名:松井和夫)は、1993年のドラフト3位でPL高校から西武ライオンズに入団した。高校時代は投手だった松井だが、プロ入り後にショートに転向。さらに右打ちからスイッチヒッターに転向するなど、挑戦の日々だった。

2年目の1995年のシーズン後半からショートのレギュラーに定着。1997年から3年連続盗塁王、7年連続でベストナインに選ばれるなど、リーグ屈指のショートに成長した。ゴールデングラブ賞も4回受賞しており、1998年にはパ・リーグの最優秀選手にも輝いた。

2002年にトリプル3(3割30本30盗塁)を達成するなど、スピードとパワーを兼ね備えた松井稼頭央は「史上最高のショート」と呼ばれるようになった。そして2003年シーズン終了後、松井はFA宣言をしてニューヨーク・メッツに移籍した。

年度別打撃成績(西武入団からFA退団まで)































1995西 武69219204254591262152117170264.221.304.245
1996西 武13051847351134225116929509262143932.283.357.307
1997西 武1356455769117823137248636215182445894.309.431.362
1998西 武135641575921793859254584314645518910.311.442.370
1999西 武13560953987178294152606732786560757.330.482.389
2000西 武135611550991774011233089026367462608.322.560.372
2001西 武140613552941702822427476260454668313.308.496.365
2002西 武14065158211919346636359873311935341123.332.617.389
2003西 武14065558710417936433322841310365541244.305.549.365

中島裕之への世代交代

中島裕之は、2000年のドラフト5位で伊丹北高校から西武ライオンズに入団した。高校通算43本塁打の打力が評価されての指名だった。高校時代は投手や外野手をやっていた中島だったが、松井稼頭央と同じくプロ入り後にショートに転向した。松井がメジャーリーグへの挑戦を志向していたことから、後釜として白羽の矢が立ったのだ。二軍で結果を残した中島は、3年目の2003年に一軍での出番を増やす。サードを中心に44試合に出場、プロ初本塁打も記録した。この頃には、「松井稼頭央の後継者」として期待される存在になっていた。

そして松井がメジャーに移籍した2004年、中島は開幕から「7番ショート」でスタメン出場。リーグワーストの17失策を記録するなど守備に課題はあったが、伊東勤監督は我慢強く起用して全試合フルイニング出場を達成した。最終的に打率.287、27本塁打90打点という打撃成績で見事に松井稼頭央の穴を埋め、チームの日本一に貢献した。

その後も、中島はチームの主力として活躍し、ベストナインを4回受賞するなどリーグを代表するショートになった。課題だった守備も徐々に改善し、ゴールデングラブ賞を3回受賞。オリンピックやWBCでは日本代表として活躍し、名実ともに西武の看板選手になった。そして2012年シーズン終了後、中島は海外FA権を行使してオークランド・アスレチックスと契約した。

年度別打撃成績(西武入団からFA退団まで)































2002西 武477010001000000021.143.143.143
2003西 武44988912233144011120054220.258.449.327
2004西 武1335595027014422327253901823439111087.287.504.349
2005西 武1184444055611121211169601133322116717.274.417.327
2006西 武1054594127612622116198631440430136612.306.481.368
2007西 武1435935336816028512234749415411313415.300.439.361
2008埼玉西武1245564867516132021256812550355129615.331.527.410
2009埼玉西武1446485601001733132227692201203751011317.309.493.398
2010埼玉西武13057950380158333202579315501152139720.314.511.385
2011埼玉西武144633566821682711624510021201144129311.297.433.354
2012埼玉西武13656749969155291132257476165297610.311.451.382

最後に

1996年から2012年までの17年間、西武は松井稼頭央中島裕之という名ショートがレギュラーを張った。一般的に守備重視のポジションとされるショートで、打撃も優れていた選手がレギュラーだった西武のアドバンテージはあまりにも大きい。この見事な世代交代は、松井のメジャー志向を汲んで事前に準備していた球団もさることながら、中島本人の努力が大きかったと思う。松井稼頭央の後釜という大きなプレッシャーの中で結果を残してくれた中島には感謝の言葉しかない。

さて、3月に引退を表明した中島宏之だったが、トレーニングは続けていたようで8月のサントリードリームマッチ2025ではホームランを打った。そして、中東と南アジアを拠点とするプロ野球リーグ「ベースボール・ユナイテッド」のミッドイースト・ファルコンズの一員として現役復帰することが9月に発表された。

ベースボール・ユナイテッドは11月に開幕する。新天地での中島の活躍に期待だ。

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