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【野球コラム】「あと◯アウトで日本一」から日本シリーズ優勝を逃したチームランキング

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はじめに

第7戦までもつれた2025年ワールドシリーズは、ロサンゼルス・ドジャースが勝利して見事に連覇を達成した。9回1アウトからの同点ホームランという展開もあり、地元ロサンゼルスでは大盛りあがりだったことだろう。シリーズ3勝でMVPを獲得した山本由伸に大谷翔平と佐々木朗希の日本人トリオの活躍もあり、日本でも連日テレビで大きく取り上げられた。

逆に、トロント・ブルージェイズにとっては、あと2アウトで世界一から優勝を逃すという悔しい敗戦になった。このように、あと数アウトで優勝から逆転された例は日本シリーズでもあった訳だが、最も惜しかったのはどのチームだろうか?3勝4敗で敗退した22チームを対象に、あと何アウトで日本一という状況から日本シリーズ優勝を逃したかを調べてみた。

ランキング

ランク外

以下の11チームは、日本一に王手をかけてから一度もリードを奪うことができなかったため、ランク外とする。

  • 1954年 西鉄ライオンズ(対戦相手:中日ドラゴンズ)
  • 1955年 南海ホークス(対戦相手:読売ジャイアンツ)
  • 1963年 西鉄ライオンズ(対戦相手:読売ジャイアンツ)
  • 1964年 阪神タイガース(対戦相手:南海ホークス)
  • 1978年 阪急ブレーブス(対戦相手:ヤクルトスワローズ)
  • 1979年 近鉄バファローズ(対戦相手:広島東洋カープ)
  • 1993年 西武ライオンズ(対戦相手:ヤクルトスワローズ)
  • 2003年 阪神タイガース(対戦相手:福岡ダイエーホークス)
  • 2011年 中日ドラゴンズ(対戦相手:福岡ソフトバンクホークス)
  • 2013年 読売ジャイアンツ(対戦相手:東北楽天ゴールデンイーグルス)
  • 2023年 オリックス・バファローズ(対戦相手:阪神タイガース)

10位:あと15アウト

あと15アウトから日本一を流したのが、1991年の広島東洋カープ(対戦相手:西武ライオンズ)だ。

3勝3敗で迎えた第7戦、広島は2回表に押し出しで1点を先制する。先発の佐々岡真司は4回まで無失点の好投で5回裏に入った。この時点で日本一まであと15アウト。

先頭の石毛宏典がヒットで出塁すると、すかさず盗塁を決めてノーアウト2塁。さらに、続く鈴木健がタイムリーヒットを打って同点に追いつかれた。西武の攻撃は止まらずこの回3点を取られて逆転、7回にも4失点で広島は力尽きた。

1991年度日本シリーズ 試合結果(第7戦)
日本野球機構(NPB)オフィシャルサイト。プロ野球12球団の試合日程・結果や予告先発、ドラフト会議をはじめ、事業・振興に関する情報を掲載。また、オールスター・ゲームや日本シリーズなど主催試合のチケット情報もご覧いただけます。

9位:あと13アウト

3連勝の後に4連敗で日本一を逃した1989年の近鉄バファローズ(対戦相手:読売ジャイアンツ)だったが、2試合連続であと13人にまで迫っていた。

まずは第5戦、5回表にR.ブライアントのホームランで近鉄が1点を先制する。4回まで無失点のエース阿波野秀幸だったが、5回裏にヒットとフォアボールで2アウト1、2塁のピンチを作る。この時点で日本一まであと13アウト。

ここで、岡崎郁が2点タイムリーツーベースを打って一気に逆転。7回にも原辰徳の満塁ホームランで4点を加えた巨人が勝利した。

1989年度日本シリーズ 試合結果(第5戦)
日本野球機構(NPB)オフィシャルサイト。プロ野球12球団の試合日程・結果や予告先発、ドラフト会議をはじめ、事業・振興に関する情報を掲載。また、オールスター・ゲームや日本シリーズなど主催試合のチケット情報もご覧いただけます。

続く第6戦、近鉄は4回裏にG.リベラのホームランで1点を先制する。先発の山崎慎太郎は4回まで無失点のピッチングだったが、5回表に2アウト2、3塁のピンチで篠塚利夫を迎える。この時点で日本一まであと13アウト。

ここで、篠塚が逆転2点タイムリーを打って試合をひっくり返す。巨人がそのまま逃げ切って勝利し、3勝3敗のイーブンになった。

1989年度日本シリーズ 試合結果(第6戦)
日本野球機構(NPB)オフィシャルサイト。プロ野球12球団の試合日程・結果や予告先発、ドラフト会議をはじめ、事業・振興に関する情報を掲載。また、オールスター・ゲームや日本シリーズなど主催試合のチケット情報もご覧いただけます。

運命の第7戦は、一度もリードを奪うことなく近鉄が敗戦。結果的に、第5戦と第6戦で5回2アウトから逆転されたのが響いた。

8位:あと12アウト

日本一まであと12アウトに迫りながら優勝を逃したチームは2つある。

まずは、1984年の阪急ブレーブス(対戦相手:広島東洋カープ)だ。

3勝3敗で迎えた第7戦、阪急は簑田浩二のタイムリーで勝ち越し、2-1とリードした状態で6回裏に入った。この時点で日本一まであと12アウト。

5回まで1失点の力投を見せた山田久志だったが、先頭の長嶋清幸に同点ホームランを打たれてしまう。7回裏には勝ち越しを許して、そのまま広島が勝利して日本一になった。

1984年度日本シリーズ 試合結果(第7戦)
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もう1チームが、2004年の中日ドラゴンズ(対戦相手:西武ライオンズ)だ。

先に王手をかけて3勝2敗で迎えた第6戦、中日は2-1と1点リードした状態で6回表に入った。この時点で日本一まであと12アウト。

初回に1点を取られたあとは無失点に押さえていた先発の山本昌だったが、先頭のA.カブレラに二塁打を打たれると次の和田一浩に被弾。あっという間に逆転され、そのまま西武が勝利した。

2004年度日本シリーズ 試合結果(第6戦)
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第7戦は、西武が序盤から優位に試合を進めて日本一に輝いた。

7位:あと11アウト

1989年の近鉄と同様に3連勝の後に4連敗で日本一を逃した1986年の広島東洋カープ(対戦相手:西武ライオンズ)であるが、こちらはあと11アウトだった。

初戦引き分けの後に3勝3敗だったため第8戦となった試合、広島は3回裏に先発投手だった金石昭人の2ランホームランで先制する。そのまま広島の2点リードで迎えた6回表、先頭の清原和博がヒットで出ると続く大田卓司の打球はショートゴロになる。ダブルプレーかと思われたが、ショート高橋慶彦が二塁を踏んだ後の送球が逸れて1アウト1塁に。この時点で日本一まであと11アウト。

ここで、金石が秋山幸二にホームランを打たれて同点になる。値千金の一発を放った秋山は、ホームインの際にバック宙を披露した。西武は8回表に1点を勝ち越し、そのまま逃げ切って日本一に輝いた。

1986年度日本シリーズ 試合結果(第8戦)
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6位:あと10アウト

1980年の近鉄バファローズ(対戦相手:広島東洋カープ)は、あと10アウトで日本一という状況から逆転された。

3勝3敗で迎えた第7戦、近鉄は2点ビハインドの6回表に3点を取って逆転。その裏、広島は2アウト2塁のチャンスを作る。この時点で日本一まであと10アウト。

ここで、代打の三村敏之が同点タイムリー。続く高橋慶彦もヒットで繋ぎ、木下富雄のタイムリーで広島が勝ち越した。広島は7回裏と8回裏にも2点ずつ加え、最後は前年に引き続き江夏豊で締めて日本一。

1980年度日本シリーズ 試合結果(第7戦)
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5位:あと8アウト

ここからは、終盤の7回以降に逆転されたチームだ。まずは、1976年の読売ジャイアンツ(対戦相手:阪急ブレーブス)。

巨人の3連敗から3連勝で迎えた第7戦、巨人は6回裏に1点を勝ち越して7回表に入る。先発のC.ライトは先頭打者を抑えるも、B.ウィリアムスに内野安打を打たれて1アウト1塁。この時点で日本一まであと8アウト。

ライトは続く森本潔に逆転2ランを打たれ、8回表にも福本豊に被弾。先発の足立光宏が完投勝利で阪急が日本一に輝いた。

1976年度日本シリーズ 試合結果(第7戦)
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4位:あと7アウト

黄金時代の西武ライオンズを「あと7アウト」まで追い詰めながら敗れたのが、1992年のヤクルトスワローズだった。

3勝3敗で迎えた第7戦、ヤクルトは4回裏に西武の先発石井丈裕のエラーで1点を先制する。シリーズ3回目の先発となった岡林洋一は6回まで無失点の好投で7回表へ。ここで、西武は1アウト2塁のチャンスを作るが、代打の鈴木健が倒れて8番の伊東勤は敬遠。これで2アウト1、2塁となり、日本一まであと7アウト。

終盤の1点ビハインドという状況を考えれば代打もありえたが、森祇晶監督は投手の石井をそのまま打席に送った。石井の打球はセンター方向へ。飯田哲也がグラブに掴みかけるが捕球できず、同点タイムリーヒットとなった。試合は1-1と同点のまま延長戦に入ったが、10回表に西武が1点勝ち越すとその裏を抑えて日本一。ヤクルトからすると、投手に同点打を打たれたのが響いた。

1992年度日本シリーズ 試合結果(第7戦)
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3位:あと5アウト

8回に逆転されて日本一を逃したのが、2008年の読売ジャイアンツ(対戦相手:埼玉西武ライオンズ)だ。

巨人が先に3勝しながら第6戦を落として迎えた第7戦、巨人は2-1と1点リードして8回表に入った。7回から投げていた越智大祐だったが、先頭の片岡易之に死球を与えてしまう。片岡がすかさず盗塁を決め、栗山巧の送りバントで1アウト3塁。この時点で日本一まであと5アウト。

続く中島裕之の打球は平凡はサードゴロだったが、片岡がギャンブルスタートで同点となるホームイン。さらに、平尾博嗣が勝ち越しタイムリーを打って逆転に成功する。8回と9回はA.グラマンが抑えて西武が日本一に輝いた。巨人にとっては、シーズンを支えたセットアッパーの越智で逆転されるという痛い敗戦となった。

2008年度日本シリーズ 試合結果(第7戦)
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2位:あと2アウト

ここからは、あと9回を抑えれば日本一という状況から優勝を逃したチームが登場。まずは、1983年の読売ジャイアンツ(対戦相手:西武ライオンズ)だ。

巨人の3勝2敗で迎えた第6戦、西武の1点リードで9回表に入ったが、中畑清の2点タイムリースリーベースで巨人が逆転する。そして、9回裏を抑えれば日本一という状況でマウンドに向かったのは、このシリーズで2勝を上げている西本聖だった。西本が先頭打者を打ち取って、この時点で日本一まであと2アウト。

追い込まれた西武だったが、ここから山崎裕之片平晋作鈴木葉留彦の3連打で満塁のチャンスを作る。続く石毛宏典の打球は内野安打となり、西武が土壇場で同点に追いついた。試合は延長戦に入り、10回裏に金森栄治江川卓からサヨナラ打となるタイムリーを打って西武が勝利、3勝3敗のイーブンとなった。

1983年度日本シリーズ 試合結果(第6戦)
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第7戦では6回まで巨人が2点リードを奪っていたが、好投の先発西本が7回裏に「日本一まであと9人」という状況から逆転タイムリーを打たれてしまう。このリードを東尾修が守って西武が日本一。不調の江川に代わり大車輪の活躍だった西本だが、最後の最後で捉えられてしまった。

1位:あと1アウト

あと1アウトというこれ以上更新のしようがない数字で1位になったのが、1958年の読売ジャイアンツ(対戦相手:西鉄ライオンズ)だ。

巨人の3勝1敗で迎えた第5戦、3-2と巨人の1点リードで9回裏に入る。西鉄は先頭の小淵泰輔が三塁線を破るツーベースで出塁すると、豊田泰光が送りバントで1アウト3塁と同点のチャンス。しかし、4番の中西太が討ち取られて、ついに2アウトになってしまった。

あとアウト1つで敗北と追い詰められた西鉄だったが、関口清治藤田元司から起死回生の同点タイムリー。セレモニーの準備が行われている中での同点劇だった。そして延長戦に入った10回裏、4回から投げていた稲尾和久がサヨナラ本塁打を放って西鉄が勝利した。

1958年度日本シリーズ 試合結果(第5戦)
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第6戦と第7戦は、巨人が一度もリードを奪うことなく西鉄が勝利、3連敗からの4連勝という大逆転で西鉄が日本一になった。6試合に登板して4勝を上げた稲尾が文句無しのMVP。この活躍で「神様、仏様、稲尾様」が彼の代名詞となった。

最後に

奇しくも、上位3チームはいずれも巨人で対戦相手がライオンズだった。ジャイアンツ対ライオンズの日本シリーズは4勝0敗と一方的な展開になることもあるが、第7戦までもつれた時は歴史に残る名勝負になる印象だ。1958年、1983年、2008年と25年周期で来ているので、次は2033年だろうか。今から2033年のGL決戦に期待だ!

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