はじめに
ブラックメタルというのは、ヘヴィメタルの中でも一般受けしないジャンルだと思います。その中でも、特に一般受けしないであろうジャンルがデプレッシヴ・スーサイダル・ブラックメタル(DSBM)です。
DSBMは鬱・孤独・自殺願望・精神崩壊などをテーマにしており、叙情的で悲哀を帯びたギターリフや、絶叫・嗚咽・すすり泣きといったボーカルが特徴です。
そんなDSBMの中でも金字塔的な作品とされるのが、SILENCERの唯一のアルバム『Death – Pierce Me』です。
そのタイトル曲を今回紹介しましょう。
曲の魅力
「Death – Pierce Me」はSILENCERの唯一のアルバム『Death – Pierce Me』のタイトルトラックであり、DSBMを代表する楽曲といえます。
イントロの異様な雰囲気がまず最高です。
静かで不穏なアルペジオから始まる導入となっており、いきなり絶叫ではなく「これから崩壊が始まる」という予感を植え付けています。単なる暗さではなく、張り詰めた恐怖感を作り出しているのです。
ボーカルの狂気と多様な表現も忘れてはいけません。
ナトラムの断末魔のような叫び、すすり泣き、咳き込むような声が次々と重なり、「歌」ではなく「生の苦悶の音」として機能しています。特にこの曲では、叫びとメロディが奇妙に絡み、曲全体を“生き地獄”に変えています。
そして、ギターリフの美しさと反復の魔力もたまりません。
トレモロリフは冷たくも叙情的で、涙を誘うような旋律を形成。繰り返しが多いが、単調ではなく“絶望のループ”を強調しています。ボーカルの混沌とした狂気に対し、ギターが整った旋律を奏でることで「痛みの美化」を作り出しています。
最後に、長尺ながらも没入感のある構成です。
一気にカタルシスへ走るのではなく、じわじわと精神を削り落とす展開。中盤以降の盛り上がりでは、泣きのリフと叫びが絡み合い、「絶望の美」を極限まで押し出しています。最後まで聴くと、重苦しさだけでなく妙な高揚感やカタルシスも残ることでしょう。
最後に
「Death – Pierce Me」は 狂気と美のコントラスト を最も純粋な形で表現した楽曲です。
SILENCERを一度でも聴くなら、まずこの曲が核心であり、彼らの芸術性を一番強く体験できる一曲ではないでしょうか。
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