音楽コラム

【音楽コラム】HR/HMの転換期を振り返るPart2 1986年~時代のカルチャーへ~

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はじめに

1986年、ハードロックとヘヴィメタルは、世界のあらゆる方向へと枝分かれしていった。BON JOVIがポップで華やかな成功を収める一方、METALLICAやSLAYERは激烈なサウンドでスラッシュメタルを確立。ヨーロッパではYNGWIE MALMSTEENが旋律美を競い、ベテラン勢は新しい時代にどう挑むかを模索していた。そしてアメリカでは、RUN-D.M.C.とAEROSMITHの「Walk This Way」が“ロックとヒップホップ”の垣根を壊す。1986年は、HR/HMがジャンルを超えて進化しはじめた、転換の年だった。

アメリカンハードロック/LAメタルの絶頂

1986年、アメリカのハードロックはMTVと共に頂点を極めた。BON JOVIが『Slippery When Wet』で世界中のチャートを制し、ハードロックがついに大衆音楽の主流へと躍り出る。同じ年、CINDERELLAやPOISONがデビューし、煌びやかなビジュアルとキャッチーなメロディを武器に新世代の“LAメタル”を象徴。一方で、VAN HALENは新ボーカルを迎え『5150』で生まれ変わり、脱退したデイヴィッド・リー・ロスは超技巧派を率いて『Eat ’Em and Smile』を発表。アメリカンハードロックはこの年、華やかさ・技巧・エンタメ性が奇跡的に融合した、まさに黄金期の扉を開いた。

BON JOVI – Slippery When Wet

BON JOVIの3作目にして、全米No.1を獲得した大ヒット作。「You Give Love a Bad Name」「Livin’ on a Prayer」など、MTV時代を象徴するアンセムを多数収録し、メタルとポップの理想的融合を果たした。LAメタルのブームを世界的なものへ押し上げ、ハードロックを“キャッチーで親しみやすい音楽”として大衆に浸透させた金字塔的アルバム。

VAN HALEN – 5150

サミー・ヘイガーを新ボーカルに迎えた新生VAN HALENの第一作。デイヴィッド・リー・ロス期の陽気なパーティーロックから一転、メロディアスでドラマチックなサウンドへと進化した。「Why Can’t This Be Love」などのヒットを生み、賛否を呼びつつもバンドの新時代を成功裡にスタートさせた重要なアルバム。

DAVID LEE ROTH – Eat ’Em and Smile

VAN HALEN脱退後、デイヴィッド・リー・ロスが放った本格的ソロ第1弾。スティーヴ・ヴァイ(G)、ビリー・シーン(B)、グレッグ・ビソネット(Dr)という超技巧派を従え、ジャズやブギーを取り入れた多彩なサウンドを展開。ロスらしいショーマンシップとユーモアに溢れ、テクニカルでありながらもエンターテインメント性を失わない傑作として高く評価された。

POISON – Look What the Cat Dragged In

ビジュアル的にも音楽的にも、80年代後半のLAメタル像を決定づけた衝撃のデビューアルバム。華やかなメイク、ポップなメロディ、パーティームード全開の曲調で、若年層に絶大な支持を得た。批評家には軽視されながらも、バンドのスター性と明るい享楽主義はMTV文化と完璧にマッチし、“見せるメタル”の象徴となった。

CINDERELLA – Night Songs

グラムメタルの流れを汲みながらも、ブルース色の濃いサウンドで個性を打ち出したデビュー作。トム・キーファーのしゃがれたボーカルとスライドギターが特徴で、見た目の派手さと裏腹に渋いロック魂を感じさせる。MOTLEY CRUEやPOISONとは異なる“泥臭いアメリカンロック”を提示し、LAメタルの幅を広げた一枚。

スラッシュメタルの躍進

1986年、スラッシュメタルはついに“アンダーグラウンド”から“時代の象徴”へと進化した。スピード、攻撃性、社会批判、技巧、そのすべてが同年に凝縮されている。METALLICAが『Master of Puppets』で芸術性を、SLAYERが『Reign in Blood』で狂気を、MEGADETHが『Peace Sells…』で知性を提示。さらに、アメリカのDARK ANGELやドイツのKREATOR、カナダのVOIVOD、ブラジルのSEPULTURAらが国境を越え、スラッシュの精神を世界へと広げた。“速く、激しく、そして賢く”、1986年はスラッシュメタルが最も鋭く輝いた一年だった。

METALLICA – Master of Puppets

スラッシュメタルの頂点に立つ傑作。重厚なリフと構築美、哲学的なテーマを兼ね備え、メタルを芸術の域に押し上げた。「Battery」「Master of Puppets」「Welcome Home (Sanitarium)」など、いずれも象徴的な名曲ばかりで、後続のメタルすべてに影響を与えた。

SLAYER – Reign in Blood

28分という短さで全メタル史を塗り替えた、スピードと狂気の極致。リック・ルービンのプロデュースにより、暴虐的でありながらも驚くほどシャープなサウンドを実現。「Angel of Death」「Raining Blood」は今なお極限のスラッシュの象徴として語り継がれている。

MEGADETH – Peace Sells… but Who’s Buying?

知性と皮肉を兼ね備えた“頭脳派スラッシュ”の金字塔。デイヴ・ムステインの冷徹な視点と、クリス・ポーランドのジャズ的なギターが融合し、社会風刺的なメッセージも鮮烈。表題曲「Peace Sells」はMTVでも流れ、スラッシュがメインストリームへ踏み出す契機となった。

DARK ANGEL – Darkness Descends

アメリカ西海岸発、超高速・超攻撃型スラッシュの頂点。7曲すべてが怒涛のテンポと密度を誇り、テクニカルかつカオティックな展開でファンを圧倒した。同時代のSLAYERとは異なる過激美学を打ち立てた1枚。

KREATOR – Pleasure to Kill

ヨーロッパから放たれた暴走スラッシュの極北。プリミティブな攻撃性と不穏な空気感が融合し、後のデスメタルにも直結するサウンドを提示。ドイツ勢がスラッシュをより“殺伐”な方向へ導いた象徴的アルバム。

なお、ジャーマンスラッシュ勢ではSODOMやDESTRUCTIONもこの年にアルバムをリリースしているが、ここでは割愛させていただく。

VOIVOD – Rrröööaaarrr

カナダ出身の異端児による、サイバーで実験的なスラッシュメタル。アートロックやSF的世界観を取り入れ、後のプログレッシブ・スラッシュの先駆けとなった。無秩序の中に構築性がある独自のバランスは、他にない個性を放つ。

SEPULTURA – Morbid Visions

ブラジルの貧困と混沌の中から誕生した原初的スラッシュ。リミットを超えた荒削りな音像の中に、のちのデスメタルやグルーヴメタルの萌芽を感じさせる。後に世界的バンドへと進化する彼らの、最初の咆哮である。

ヨーロッパバンドの多様性

1986年、ヨーロッパのHR/HMは多様性を極めた。EUROPEが『The Final Countdown』で世界の頂点に立つ一方、イングヴェイ・マルムスティーンは超絶技巧でクラシカルメタルを芸術へと昇華。ACCEPTが硬派なメタル精神を守り、KING DIAMONDはホラー的コンセプトで“聴く演劇”を提示。さらに、CANDLEMASSがドゥームメタルという新たな重力を生み出し、ZENOが洗練されたメロディアス路線を展開。アメリカが“派手さの年”だったとすれば、ヨーロッパは“深みと個性の年”だった…、1986年はまさに「もう一つの黄金期」である。

EUROPE – The Final Countdown

北欧から世界へ飛び出した、メロディアスハードの象徴。タイトル曲「The Final Countdown」はシンセサイザーを大胆に取り入れた華やかな名曲で、ヨーロッパ勢がポップ市場に食い込む突破口となった。叙情とキャッチーさの絶妙な融合は、その後の北欧メタル・メロディックロックの原点といえる。

YNGWIE MALMSTEEN – Trilogy

ネオクラシカルメタルを確立したスウェーデン出身ギターヒーロー、イングヴェイの3rdアルバム。「You Don’t Remember, I’ll Never Forget」など、技巧・旋律・ドラマ性が完璧に噛み合う代表作。バロック音楽をメタルへ持ち込み、“ギターが主役の音楽”という新美学を完成させた。

KING DIAMOND – Fatal Portrait

デンマークの奇才キング・ダイアモンドがMERCYFUL FATE解散後に放ったソロデビュー作。ホラー仕立ての物語と、オペラ的ファルセットを駆使した独自の表現で、“ストーリーで聴かせるメタル”を開拓。のちのシアトリカルメタルに多大な影響を与えた作品。

ACCEPT – Russian Roulette

ジャーマンメタルの重鎮が放った、硬派でストイックな一枚。ミリタリズムをモチーフにしたシリアスな世界観と、ウド・ダークシュナイダーの鋼のボーカルが一体化したサウンドはまさに「鋼鉄の音楽」。スラッシュに押されつつも、伝統的ヘヴィメタルの気骨を示した作品。

CANDLEMASS – Epicus Doomicus Metallicus

スウェーデン発、“ドゥームメタル”という新ジャンルを打ち立てた歴史的1枚。遅く重いリフ、宗教的で荘厳な雰囲気、叙情と絶望を兼ね備えたボーカルが融合し、BLACK SABBATH以降の暗黒系メタルを新たな段階へ導いた。タイトルどおり、“エピック(叙事詩的)”で“ドゥーミー(終末的)”な美学の原点。

ZENO – Zeno

ドイツのギタリスト、ジーノ・ロート(ウリ・ジョン・ロートの弟)が率いたプロジェクトのデビュー作。メロディックで透明感のあるサウンドと、叙情的なギターアレンジが光る。商業的には地味ながら、後のメロディアスハードの隠れた名盤として再評価されている。

ベテラン勢の模索

1986年は、ヘヴィメタルを築き上げたベテランたちが「次の時代」を模索した年でもあった。新世代(LAメタルやスラッシュメタル)が台頭する中で、JUDAS PRIESTやIRON MAIDENは進化したサウンドで自らの存在感を誇示し、オジー・オズボーンは新たなギターヒーローを得て復活。かつての王者BLACK SABBATHも新体制で再起を図るなど、クラシックメタルの巨頭たちがそれぞれの道を歩み出した転換期だった。

JUDAS PRIEST – Turbo

JUDAS PRIESTは『Turbo』で大胆なサウンドチェンジを試みた。シンセサイザーギターを導入し、ポップでメロディアスな方向性へ舵を切ったこの作品は、賛否を呼びつつも当時のアメリカ市場を強く意識した一枚。「Turbo Lover」や「Locked In」など、ライブ映えするキャッチーなナンバーが並び、80年代メタルの華やかさを象徴するアルバムとなった。

IRON MAIDEN – Somewhere in Time

『Somewhere in Time』は、IRON MAIDENがシンセサウンドを導入した実験的な作品である。前作『Powerslave』の荘厳な世界観から一転、近未来的なテーマを取り入れたSF的なアートワークと、より叙情的なメロディラインが特徴。「Caught Somewhere in Time」「Wasted Years」などが代表曲で、進化を恐れないバンドの姿勢を示した名盤である。

OZZY OSBOURNE – The Ultimate Sin

ランディ・ローズ亡き後の苦難を経て、オジーはギタリストジェイク・E・リーを迎え入れ、商業的にも成功を収めたのが『The Ultimate Sin』である。艶のあるメロディとグラム的な要素を取り入れ、「Shot in the Dark」などヒット曲を生み出した。このアルバムによって、オジーは80年代メタルアイコンとしての地位を完全に確立する。

BLACK SABBATH – Seventh Star

オリジナルメンバーの離脱が続く中、BLACK SABBATH名義ながら実質的にはトニー・アイオミのソロ作となったのが『Seventh Star』である。ボーカルには元DEEP PURPLEのグレン・ヒューズを迎え、ブルージーかつメロディアスなハードロックに接近。伝統的なサバスサウンドとは異なるが、80年代の変化を受け入れた挑戦的な作品だった。

ハードロック×ヒップホップ

1986年、ハードロックとヒップホップという、当時まったく異なるカルチャーが歴史的な邂逅を果たした。その中心にいたのは、RUN-D.M.C.とBEASTIE BOYSという2組のニューヨーク出身アーティスト。彼らはギターリフとビート、ステージパフォーマンスのエネルギーを融合させ、白人ロックファンと黒人ヒップホップリスナーの壁を破壊した。この年の“クロスオーバー”は、ロックの硬質さとヒップホップのストリート感が手を取り合った瞬間であり、後のミクスチャーロックやニューメタルの源流ともなる、まさに文化的事件だった。

RUN-D.M.C. feat AEROSMITH – Walk This Way

オリジナルは1975年のAEROSMITHによる楽曲だが、RUN-D.M.C.がヒップホップ的解釈で大胆にリメイクしたことで、「Walk This Way」はジャンルの垣根を超えた革命的コラボレーションとなった。AEROSMITHのスティーヴン・タイラーとジョー・ペリーが再登場し、ロックのギターリフとラップの掛け合いが一体化する映像はMTV時代を象徴。この成功により、AEROSMITHは再ブレイクを果たし、ヒップホップはメインストリームへの道を開いた。“壁を壊す”というミュージックビデオの演出は、まさに1986年の象徴的瞬間だった。

BEASTIE BOYS – No Sleep Till Brooklyn

白人ラップグループという異色の存在だったBEASTIE BOYSは、デビュー作『Licensed to Ill』でロックとヒップホップを完全に融合。「No Sleep Till Brooklyn」では、SLAYERのギタリストケリー・キングが参加し、ハードロックばりのリフとヒップホップのビートをド直球でぶつけ合った。不良少年的なユーモアと反抗心に満ちた彼らのスタイルは、後のRAGE AGAINST THE MACHINEやLIMP BIZKITといった“ラップメタル”の原点ともいえる。この曲は単なるギャグではなく、音楽ジャンルの境界を軽やかに越えていく時代の空気を体現していた。

その頃、日本では

1986年、日本のヘヴィメタルは“模倣の時代”から“独自の表現”へと明確に進化した。LOUDNESSが世界を視野に入れた活動を加速させ、VOWWOWが英国市場に挑戦。一方で、EARTHSHAKERやANTHEMといった実力派が国内で確かな基盤を築き、浜田麻里やSHOW-YAといった女性アーティストがロックのステレオタイプを打ち破る。さらに、聖飢魔IIやアニメ『聖闘士星矢』の主題歌「ペガサス幻想」によって、ハードロック/ヘヴィメタルがポップカルチャーへ浸透したのもこの年だった。日本のHR/HMは1986年、世界と日本、男性と女性、アンダーグラウンドとメインストリームが交わる“交差点”に立っていた。

LOUDNESS – LIGHTNING STRIKES

日本が世界に誇るメタルバンドLOUDNESSが、アメリカ市場を完全に意識して制作した作品。プロデューサーにマックス・ノーマン(OZZY OSBOURNE、MEGADETH)を迎え、英語詞・海外ミックスによるサウンドは、まさに“世界基準”の完成度を誇った。このアルバムでLOUDNESSはビルボードチャート入りを果たし、ジャパメタの国際的成功を象徴する存在となった。

VOWWOW – III

元BOWWOWの山本恭司を中心としたVOWWOWが放った3作目。洋楽的なソウル感と英国ロックのセンスが融合し、海外志向を強く打ち出した。人見元基の人間味あるボーカルとハードなサウンドが特徴で、後のロンドン移住・本格的海外活動の布石となった作品。日本発のハードロックが単なる模倣ではなく、独自の情熱で世界に挑む姿勢を示している。

EARTHSHAKER – OVER RUN

叙情的なメロディと正統派ハードロックを融合したEARTHSHAKERの4th。ライブ映えする楽曲が多く、華美なLAメタルともスラッシュメタルとも異なる“日本らしい哀愁”を確立。1980年代中期の国産メタルが最も成熟していたことを示す1枚といえる。

ANTHEM – TIGHTROPE

骨太でストイックなサウンドを貫いたANTHEMの2作目(ミニアルバムを含めれば3作目)。スピード、メロディ、演奏力すべてが充実し、日本のメタルバンドが“世界水準”にあることを証明した作品。特に福田洋也のリフワークと坂本英三の力強いボーカルが印象的で、この時期のジャパメタにおける「職人型メタル」の代表格となった。

浜田麻里 – PROMISE IN THE HISTORY

女性ロックシンガーとして確固たる地位を築きつつあった浜田麻里の傑作。ハードロックを軸にしながらも、美しいメロディと圧倒的な歌唱力で唯一無二の世界を構築。彼女の存在は“女性ボーカル=アイドル”という固定観念を完全に打ち破った。

SHOW-YA – WAYS

これまでのポップ路線からハードロック路線へ転向し、演奏・サウンド両面で飛躍を遂げたアルバム。寺田恵子のパワフルなヴォーカルと中村美紀のキーボードが織りなすサウンドは、洋楽ハードロックに匹敵する完成度を誇る。SHOW-YAはこの作品で“ガールズロックバンド”ではなく“本格ハードロックバンド”として確立した。

聖飢魔II – THE END OF THE CENTURY

前作『悪魔が来たりてヘヴィメタる』から一段と完成度を高めた意欲作。「蝋人形の館」がシングルとしてヒットし、アルバムもオリコン5位を記録。地上波の音楽番組やバラエティへの出演も増え、悪魔メイク姿のバンドがゴールデンタイムに登場するという異例の存在感を放った。こうしたメディア露出を通じて、ヘヴィメタルというジャンルが一般のポップシーンに浸透していくきっかけとなり、聖飢魔IIは日本におけるメタル文化の象徴的存在として確立された。

MAKE-UP – ペガサス幻想

アニメ『聖闘士星矢』の主題歌として大ヒットしたMAKE-UPの代表曲。正統派ハードロックの熱量をアニメソングに持ち込み、ハードなギターと疾走感あふれるメロディが多くの若者を魅了した。この成功は、メタルがテレビやアニメといった大衆メディアに入り込む突破口となり、「アニソン×メタル」という後世に続く文化を生んだ。

最後に

1986年は、ハードロック/ヘヴィメタルが「音楽ジャンル」から「時代のカルチャー」へと昇華した年だった。

アメリカではLAメタルが大衆文化の中心に躍り出る一方で、スラッシュメタル勢が地下から新たな価値観を提示した。ヨーロッパのバンドは技巧と様式美を極め、アメリカの華やかさとは対照的な“北欧の美学”を築き上げる。その一方で、ロックの壁を打ち壊してヒップホップとの融合という未来を指し示すグループも現れた。日本では、海外に挑むバンド、地に足のついた正統派メタルを築くバンド、そして女性アーティストらが活躍し、シーンの多様化を体現。さらに、聖飢魔IIや「ペガサス幻想」によって、メタルがテレビやアニメの領域にまで浸透し得ることを証明した。こうして1986年の世界は、商業的成功・アンダーグラウンドの進化・ジャンルの越境・国際的広がりが同時に進行する稀有な瞬間を迎えたのである。

パート3では、グランジムーブメントによってHR/HMシーンが岐路に立たされた1992年を取り上げたい。だが、その前に番外編として、HR/HMが商業的ピークに達した一方で、更に過激なスタイルが登場した1987年について語る予定だ。

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