はじめに
「セルフタイトルアルバム」とは、アーティスト(歌手やバンド)の名前をそのまま作品名にしたアルバムのことである。アーティスト名がそのままアルバムタイトルになるため、重要な作品で使われることが多い。
基本的に1回しか使えないものであるが(WEEZERは例外)、HR/HM(ハードロック・ヘヴィメタル)バンドはどのようなタイミングでこのセルフタイトルアルバムをリリースしているのだろうか。パッと思い浮かんだものを上げてみよう。
デビュー作
やはり多いのが、デビューアルバムをセルフタイトルにする例だ。バンド名とアルバムタイトルを一緒にすることで、バンドの名前を印象付ける狙いがあるのだろう。
LED ZEPPELIN(1969年)

HR/HMはこの1枚から始まったと言っても過言ではない名盤。『LED ZEPPELIN Ⅰ』という表記もあるが、公式サイトを見る限りでは『LED ZEPPELIN』が正式タイトルである。
BLACK SABBATH(1970年)

後世への影響力という意味では『LED ZEPPELIN』に引けを取らない名盤。邦題は『黒い安息日』。
AEROSMITH(1973年)

名曲「Dream On」収録。邦題は『野獣生誕』。
QUEEN(1973年)

日本だと『戦慄の王女』という邦題の方が印象強いかもしれない。
KISS(1974年)

こちらも、日本では邦題『地獄からの使者』のイメージが強い気がする。
VAN HALEN(1978年)

ライトハンド奏法(タッピング)でエドワード・ヴァン・ヘイレンが衝撃のデビュー。邦題は『炎の導火線』。
IRON MAIDEN(1980年)

NWOBHM(ニュー・ウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィメタル)の代表格のデビュー作。邦題は『鋼鉄の処女』。
QUEENSRYCHE(1983年)

フルアルバムではなくEP。名曲「Queen Of The Reich」を収録。
W.A.S.P.(1984年)

「I Wanna Be Somebody」などキャッチーな曲が並ぶ名盤。邦題は『魔人伝』。
HELLOWEEN(1985年)

フルアルバムではなくEP。まだスラッシュメタル色が強い。
CRIMSON GLORY(1986年)

ミッドナイトの歌唱力が堪能できる名盤。メンバー全員が仮面を着けてたことでも知られる。
RAGE AGAINST THE MACHINE(1992年)

ヘヴィメタルとラップを融合させた重要作。収録曲「Killing in the Name」は空耳アワーでもおなじみ。
KORN(1994年)

ニューメタルはこのアルバムから始まった。代表曲「Blind」を収録。
他多数
他にも色々あるが、さすがに全部取り上げるのは無理なのでここまで。
勝負作
アメリカ進出、路線変更、メンバー交代といったように、重要な局面に立たされたバンドが勝負作としてセルフタイトルアルバムを出すことも多い。
WHITESNAKE(1987年)

通称「サーペンス・アルバス」。前作からアメリカを意識した作風になっていたが、今作ではさらにアメリカナイズが進んだ。全米最高2位を記録するなど、800万枚を超える大ヒット作となった。
METALLICA(1991年)

通称「ブラックアルバム」。これまでのスラッシュメタル路線から完全に脱却して新たなスタイルを提示した、まさに「勝負作」。3000万枚とも言われる大ヒットを記録し、METALLICAはヘヴィメタルの枠を超えたモンスターバンドになった。
LOUDNESS(1992年)

ボーカルに元E・Z・Oの山田雅樹、ベースに元Xの沢田泰司を迎えて作成された、第3期唯一のスタジオアルバム。半音下げのチューニングやグルーヴ重視といったように、これまでのLOUDNESSとは違ったサウンドになっている。事務所の方針もあって海外での活動はなくなってしまったが、オリコンで最高2位を記録するなど国内での人気は健在だった。
MOTELEY CRUE(1994年)

80年代LAメタルシーンの象徴的存在だったMOTELEY CRUEがグランジ・オルタナに接近した作品。アルバムの出来は悪くないが、新ボーカルのジョン・コラビの声が従来のファンに受け入れられず、グランジ・オルタナ好きには流行にすり寄ってきた印象を持たれたため評価は低い。
AVENGED SEVENFOLD(2007年)

前作でメロディックメタルを大胆に取り入れたAVENGED SEVENFOLDであるが、今作はさらにバラエティに富んだサウンドになっている。初期はメタルコアバンドだった彼らがヘヴィメタルバンドとしての地位を確立した名盤。
QUEENSRYCHE(2013年)

ジェフ・テイト解雇によるバンド分裂直後にリリースしたアルバム。再出発の意味を込めて、デビューEP以来30年ぶりのセルフタイトルとなった。ちなみに、解雇されたジェフ・テイトも同じ年にQUEENSRYCHE名義でアルバムをリリースしている。
HELLOWEEN(2021年)

カイ・ハンセンとマイケル・キスクが復帰ということで大きな話題になったアルバム。デビューEPもセルフタイトルだったが、新生HELLOWEENを盛り上げるために再びセルフタイトルを採用したのは納得いく。
よく分からない
中にはよく分からないタイミングでリリースされたセルフタイトルアルバムもある。
DEEP PURPLE(1969年)

まだアートロック路線だったDEEP PURPLEの3作目。いわゆる第1期にとって最後のスタジオアルバムなのだが、なぜここでセルフタイトルにしたのかよく分からない。邦題は『素晴らしきアートロックの世界』だったが、再発盤では『ディープ・パープルⅢ』に変更されている。
KILLSWITCH ENGAGE(2009年)

2000年リリースのデビューアルバムもセルフタイトルだったので、9年ぶり2枚目のセルフタイトルアルバムとなる。デビューEPとフルアルバムで1枚ずつというのはまだ分かるが、フルアルバムでセルフタイトルを複数出すというのはどういう意図なのだろうか。
DREAM THEATER(2013年)

プログレメタルの大御所DREAM THEATERの12作目(EP含めれば13作目)なのだが、特にセルフタイトルにする理由が思い浮かばない。メンバーにとっては自信作だったのだろうか。
集大成
最後に紹介するのは、バンドにとって最後のアルバムをセルフタイトルにする例だ。
MEGADETH(2026年)

MEGADETHは今年リリースされるアルバムが最後のアルバムになることを表明している。バンドの集大成となる作品であり、確かにセルフタイトルがピッタリだ。
最後に
やはりと言うか、デビュー作でセルフタイトルにするバンドが多かった。他には、路線変更やメンバーチェンジの後に勝負作としてセルフタイトルを採用する例が目立つ。一方で、なぜそのタイミングでセルフタイトルアルバムを出したのかよく分からないバンドもあったが、大人の事情でもあったのかもしれない。そんな中、MEGADETHの最終作『Megadeth』のリリースが1月23日に迫っている。バンドにとって集大成となるこのアルバム、どのような作品になるのか楽しみだ。
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