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【この曲を聴こう!】THE J. GEILS BAND – Centerfold

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洋画が日本で公開される際、日本向けにタイトルが変更されることは珍しくない。いわゆる「邦題」というやつだ。

たとえば『Up』や『Frozen』と言われるよりも、『カールじいさんの空飛ぶ家』『アナと雪の女王』の方が内容を具体的にイメージしやすい人は多いだろう。

一方で、洋楽の世界ではこうした邦題を見かける機会がずいぶん減ったように思う。完全に消えたわけではないものの、90年代以降は急速に廃れていった印象だ。もちろん、KORPIKLAANIのようにネタ的に邦題が付けられる例は今でも存在するが、主流とは言いがたい。

そんな邦題も、いわゆる「洋楽黄金時代」と呼ばれる80年代には数多く存在していた。中でも個人的に秀逸だと感じるのが、THE J. GEILS BANDの「Centerfold」(邦題:堕ちた天使)である。

「センターフォールド」とは、中綴じ雑誌の中央にある見開きページのことを指す。2ページを使って1枚の大きな写真を掲載できるため、いわば“目玉”となるビジュアルが配置される場所だ。

アメリカでは、プレイボーイのような雑誌においてこのセンターフォールドにヌード写真が掲載されるのが定番であり、「センターフォールド=ヌード」というイメージが広く浸透している。ちなみに、画像処理の分野で有名な「レナ」の画像も、もともとはプレイボーイのセンターフォールドに掲載されたものだ。

この曲の歌詞は、学生時代に憧れていた女性がセンターフォールドに登場しているのを知りショックを受ける…、そんな内容になっている。個人的にも、かつて好きだったグラビアアイドルがAVデビューした経験があるので、その感覚はなんとなく分かる。見たい気持ちはあるのにどこか直視したくない…、そんな複雑な感情に戸惑った記憶がある。

もっとも、日本にはセンターフォールドにヌードを掲載する文化がほとんどないため、原題のままではニュアンスが伝わりにくい。そこで付けられた邦題が『堕ちた天使』なのだが、憧れの存在が思いもよらない形で“手の届かない場所”に行ってしまった…、そんな喪失感やショックを実に巧みに表現していると思う。

歌詞の内容とは裏腹に、サウンドはどこまでも軽快だ。「ナーナーナナーナーナー」という印象的なフレーズも相まって、この曲はTHE J. GEILS BANDにとって最大のヒットとなった。日本でもCMやバラエティ番組のBGMとして耳にする機会が多く、知らず知らずのうちに刷り込まれている一曲と言えるだろう。

明るくキャッチーなメロディの裏に、ほろ苦い青春の記憶が隠れている…。そう考えると、この『堕ちた天使』という邦題はやはり見事な仕事だったのかもしれない。

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