はじめに
00年代の『マガジン』を代表するラブコメ漫画『スクールランブル』。
本編は2008年に連載を終えたが、その後も『マガジンSPECIAL』にて、続編とも番外編とも言える『スクールランブルZ』が連載されていた。2009年には単行本(全1巻)も発売されている。
しかし当時の自分は、とある理由からこの『スクランZ』をスルーしてしまった。
それから17年後の2026年。ふとしたきっかけで、急にこれを読んでみたくなった。電子書籍化はされていなかったため、今回はAmazonで購入することにした。

スクランの3つの構造
『スクールランブル』は男女ともにキャラクター数が多く、いわゆる群像劇の様相を呈している作品だ。ただ、その関係性は大きく次の3つの構造で整理できる。
- 播磨拳児 → 塚本天満 → 烏丸大路へと連なる、一方通行の三角関係
- 播磨拳児を軸にした、沢近愛理と塚本八雲の三角関係
- その他のクラスメイト同士の関係(周防美琴と麻生広義、一条かれんと今鳥恭介など)
そして、この作品の盛り上がりを実質的に支えていたのは、間違いなく②だろう。
読者の間でも「沢近愛理派」と「塚本八雲派」に分かれ、しばしば血みどろ(?)の論争が繰り広げられていたのが印象的だ。
「旗派」と「おにぎり派」
「沢近愛理派」と「塚本八雲派」は、ネット上ではそれぞれ「旗派」「おにぎり派」と呼ばれていた。
由来はシンプルで、「旗派」は沢近がイベントごとに播磨とのフラグを次々と立てていったことから。一方の「おにぎり派」は、八雲がバイトで自宅に来ていた播磨におにぎりを差し入れしたエピソードにちなんでいる。
ちなみに自分は「おにぎり派」だった。単純にキャラクターとして八雲の方が好みだったし、当時は沢近の嫉妬深い一面が少し苦手だった、というのもある。もっとも今になってみると、そういうところも含めて可愛いと思えるのだが(あの頃の自分は若かった…)。
本編連載中は、展開ひとつで旗派とおにぎり派が一喜一憂する状況が続いていた。しかし終盤は天満と烏丸の関係がメインとなり、旗派vsおにぎり派の決着はつかないまま連載が終了してしまう(旗派優勢ではあったが)。
その後、『スクールランブルZ』でも両派の“戦い”は続くことになるが、とある1ページが決定打となる。沢近と播磨が、自分たちの子どもを塚本姉妹と烏丸のもとへ連れてくる…そんな描写だ。
自分は当時『スクランZ』を追っておらず、単行本が出たら読もうと思っていた。しかし、ネットでその展開を知ってしまい、結局手に取ることはなかった。
おにぎり派の自分にとって、旗派の勝利はどうしても受け入れがたいものだったのだ。
10年以上の時を経てスクランZを読むことを決心
時は流れて2026年3月、アニメ第1期の第23話がYouTubeで期間限定配信された。
体育祭を描いたエピソードであり、沢近が播磨とのフラグをまたひとつ積み重ねる回でもある。対して八雲は出番が少なく、この回に関しては完全に旗派優勢と言っていい内容だった。
久々にこのエピソードを観て、改めて実感した。自分の中で「スクラン熱」が確実に再燃していることに。
そしてついに、これまで意図的に避けてきた『スクールランブルZ』を読んでみようと決心したのだった。
感想
全体的にパラレルワールド的な単発エピソードが多く、「旗派 vs おにぎり派」の決着という観点で見ると、やや物足りなさはある。
ただ、その中でも播磨と沢近が将棋を指す回はかなり良かった。
「勝った方の言うことを聞く」という勝負で、“入籍”をちらつかせながら、一手ずつ播磨を追い詰めていく沢近が実に新鮮なのだ。これは旗派、かなり悶絶したんじゃないかな。播磨に呼ばれてやって来た八雲が“二歩”に気づき、沢近の反則負けになるというオチも秀逸だった。
また、アメリカへ渡った八雲が、車中で天満と恋バナをするシーンも印象的だった。二人きりということもあり、天満のツッコミはいつも以上に容赦がない。そのおかげで、普段はあまり見せない八雲の表情や感情が垣間見える。
もっとも、八雲自身は「播磨がまだ天満を完全には諦めきれていない」ことを理解しているようにも見える。そして、その壁を壊せる存在がいるとすれば、それは沢近のような“別格の頑固者”なのだろうと。
実際、“入籍”を匂わせながら一直線に攻める沢近に対し、八雲はどこか一歩引いている印象がある。おにぎり派、大ピンチである。
そして問題の最終回。
…って、播磨と沢近の子ども、烏丸の想像じゃねーか!
限りなく旗派優勢ではある。優勢ではあるのだが、まだ決着はついていない。
最後に
『スクランZ』を読んだことをきっかけに、結局本編の方も全巻読み返してしまった。
改めて触れてみると、『スクールランブル』はやはり自分にとって特別な漫画だったのだと思う。キャラクター同士の掛け合い、恋愛模様のもどかしさ、くだらないギャグで大笑いした空気感まで含めて、あの頃の記憶と強く結びついている作品なのだ。
そして調べてみると、『スクランZ』終了後も読み切りという形で何度か復活しているらしい。あれって「マガポケ」に登録すれば読めるんだろうか。
17年越しに『スクランZ』を読んだことで、終わったはずだった“旗派 vs おにぎり派”の戦いが、自分の中で再び始まってしまった気がする。
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